第2回 子育ての科学(脳科学)開催報告

今回は、首都大学東京の菊池吉晃教授をお招きして、「お母さんのわが子に対する愛情(母性愛)とは何か?」というテーマで講演をしていただきました。

先生の行った実験は、母親に明確な愛情を示すとされる1-2歳の子どもをもつ母親に自分の子(笑顔・泣き顔)と他人の子(笑顔・泣き顔)の映像を見せるというものでした。実験にはfMRIを使用し、主観評価(感情状態について)との結果と照合し、母親の愛に関係する脳の場所を4箇所に特定することが出来たそうです。また、fMRIの結果では、自分の子が泣いている姿に脳が強く反応していることもわかりました。

この時、母親の頭の中では、泣く様子=子どもの危機として捉えられ、脳では葛藤が起こっています。すると、わが子の苦痛を減らす戦略を練るために、内省して無意識に自己図式を探します。これは、過去の自分の経験を瞬時に呼び戻す作業で、ここから記憶がよみがえると身体状態が変化する、という流れになっています。

また、脳の葛藤に対する男女差に関する研究では、女性は【自分】と【ネガティブな要素】を結びつける傾向が強いことがわかりました。これは、危機のシミュレーションをすることで、今後起こりうる多くのリスクに備えている状態だそうです。これらの例をもとに、なかなか言語化しにくい母性という概念を、脳科学の観点から覗いてみることが出来ました。

レポートでは、かなり断片的になってしまいましたが、この他にも懐かしさを感じる脳、自己肯定性を守ろうとする脳についてもお話していただきました。

参加者の方々からは「子育ての場面では、“母はこうあるもの”と、あまり根拠のわからないまま語られることが多いけれど、脳科学の知見を学ぶことで、もう少しクールに現象を捉えられる気がした」、「脳機能の男女差に関する話は、これからの家族での子育てに活かせると感じた」といった感想をいただきました。また、父性や男性脳についても学んでみたいという意見も多かったです。

また、お母さんの他にも大学生から社会人まで男女関係なく参加していただいたため、「アカデミックな内容に対して参加者の対象が広く、興味深かった」という感想もいただきました。

今回は、参加者全員が脳科学初心者とのことで、ゼミのような雰囲気で学ぶことが出来ました。 菊池先生、参加して下さった皆さん、ありがとうございました。