子育ての科学

第6回 子育ての科学(マテリアル工学)開催報告

第6回 子育ての科学(マテリアル工学)開催報告

8/30(土)に開催された子育ての科学のイベントレポートをお送りします!

今回は、東京大学工学部の秋元文先生をお招きして、「便利な物」と子育てについて考えてみませんか?というテーマでお話をしていただきました。

まずは、「マテリアル工学はどの様な学問なのか?」についてです。マテリアル工学の技術が使われている商品はたくさんありますが、今回は子育てと関連のある紙おむつを例に説明をしていただきました。

一般の紙おむつに限界まで吸水させると、約1.6kgになるまで水をもらさずに保持することが出来ます。(※重さはサイズにより異なる)これは、吸水パッドの部分に使用されている吸水性のある高分子ゲルの働きのおかげです。

実際に、吸水前の紙おむつ、500ml分吸水した紙おむつ、水遊び用のおむつ(限界まで吸水済み)を実際に皆さんに手にとってもらいました。すると、あまりの重さの違いに驚く方がたくさんいらっしゃいました。ちなみに、水遊び用のおむつは、腰への負担がかからないように、あえてあまり吸水されないように設計されています。

分子にはたくさんの種類があり、その働きも様々です。今回紹介した分子には、「32度を境界にして、それ以上だと溶けなく(撥水性)、それ以下だと溶ける(浸水性)性質」がありました。この技術は、再生医療の細胞の培養をする現場でも活用されています。

後半は、哲学対話のワークショップを数多く行っている宮田さんをファシリテーターにお迎えしました。今日の話を聞いて、「学術の知識を子育てにどう活かすか」というテーマで話をすることになりました。

参加者の方からは、ご自身の体験と育児を振り返って以下のような意見をいただきました。

「子どもの学びにつながる導入の方法をもっと多様化するべき。」
「子どもが「おや?」という瞬間をつくることと、その後のなぜ?にどの様に対応すればよいか?」
「子どもなりに情報を取捨選択しているので、話をたくさん聞かせることが大事だと思う。」
「知識と体験では、体験の方が子どもに残る。大人が得た知識を家で実践するのはどうか。」
「子どもだからわからないかもしれないけど・・・・は禁句。」
「知識と知恵のバランスをどの様に育てていくのが良いのか。」

その他にも、様々な話が出ましたが割愛させていただきます。今回は、大人にとっても初めて学ぶ分野であったため、改めて学びを考え、共有することが出来ました。

参加してくださった皆様、秋元先生ありがとうございました!

【講師プロフィール】
秋元 文(あきもと・あや)
東京大学工学部マテリアル工学科助教。博士(薬学)。研究テーマは、再生医療の実現に向けたスマートソフトマテリアルの創製。機能性高分子を用いて細胞培養材料や細胞分離材料などを開発する研究を行っている。

第5回 子育ての科学(天文学)開催報告

第5回 子育ての科学(天文学)開催報告

2014年5月17日(土)に開催された、子育ての科学のイベントレポートをお送りします!

今回は、天文の分野から平松正顕先生をお招きして、「宇宙の話から、子育てを考えてみよう」というテーマでお話をしていただきました。参加者は大人と子ども合わせて30名弱でした。

まずは、先生の研究分野(星の誕生)の紹介です。星の赤ちゃんは、ガスを噴出しており、そのガスが自然と発している電波を望遠鏡(電波望遠鏡)で観測しているそうです。これにより、宇宙の様々な環境で、どの様な星が誕生しているのかを調査されています。ちなみに、星が赤ちゃんである期間は、数千万年といわれているそうですが、これを人間の一生(100歳として)に置き換えると僅か8時間程度だそうです。

そして、観測に使用される電波望遠鏡の中でも、先生はチリのアルマ望遠鏡のプロジェクトに携わってこられてきました。この望遠鏡は、チリのアタカマ砂漠(標高5000m!)に設置されていて、その巨大なアンテナを使って精度の高い観測が出来るそうです。

後半は、宇宙シミュレーションソフト「Mitaka」を使って、いよいよ地球を飛び出しました!地球、太陽、惑星、銀河、星、、、と説明を受けながら遠ざかり、最終的に宇宙の果てまで辿りつきました。すると、宇宙の果てには不自然に暗い空間が。実は、世界中の技術をもってしても、宇宙には未だに未知の世界が広がっているそうです。その後、参加者の方々から「星はなぜたくさんあるの?」「星が死ぬところを生きている間に見られますか?」等たくさんの質問をいただき、Mitakaを使って丁寧に説明していただきました。

参加者の方からは、「実際の研究者の方の話を聞くことが出来て、リアルで良かった」「シミュレーションソフトのおかげで分かりやすかった。子どもが大きくなったら一緒に見たいです」等の感想をいただきました。

天文学と子育て?!と思われた方も多かったかと思いますが、先生のおっしゃっていた「固定概念にとらわれていると、見えるはずのものが見えなくなる」等、様々な概念が子育てにも参考になりそうでした。
平松先生、ありがとうございました!

講師プロフィール 平松正顕(ひらまつまさあき)
国立天文台チリ観測所助教・教育広報主任。博士(理学)。 研究テーマは星の誕生。太陽のような星がどのようなプロセスで誕生してくるかを、望遠鏡による観測をもとに研究している。またチリに完成したアルマ望遠鏡の広報担当として、科学館や学校などさまざまな場所で講演活動を行っている。

第4回 子育ての科学(食と子育て)開催報告

第4回 子育ての科学(食と子育て)開催報告

日時:2014年4月12日(土) 10:30-12:15
会場:湯島地域活動センター

今回は、三坂巧氏を講師としてお迎えし、「なぜ、食の好き嫌いがあるのか?」をテーマにお話をしていただきました。

参加者は大人15名、子ども7名でした。今回は、乳幼児連れの方が多かったため、畳に座って話を聞くというスタイルにしました。

まずは、「”おいしさ”とは何だろう?」ということを体験しながら考えていきました。人間は、舌の上にまばらに存在している味覚受容体が、味物質を感じて脳に伝達し、そこで味を判断するという仕組みになっています。そして、味を感じるのは口の中だけでなく、視覚、嗅覚、環境などによっても変化します。実際に、大人の方にはミラクルフルーツを食してもらい、その前後にレモン果汁たっぷりのプレーンヨーグルトを試食してもらいました。すると、強い酸味を予想していたにもかかわらず、とても甘くなっていたため、何ともいえない違和感を覚える人が多かったです。 
 続いて、食べ物の好き嫌いが生じる理由を、「生物として本能的に嫌いな味であること」「本人の食経験」「親の食経験」というトピックスで解説していただきました。食の嗜好性に関する研究はまだ歴史が浅く、マウスの場合までしか進んでいない研究も多いそうですが、今後100年でも新常識が誕生するような面白い研究分野だということを知りました。

イベント後には、「栄養学や母乳、離乳食の指導で言われることと結果は同じでも、根拠がはっきりしたことにより、知識が深まった気がします」、「沢山質問出来たので、これまでの通説・俗説の裏付けが理解できたのでとても良かったです」などの感想をいただきました。今回は、日常生活に深く関係のあるテーマであったため、今後も応用することが出来る学びが沢山ありました。参加してくださった皆様、三坂先生ありがとうございました。

講師プロフィール
三坂 巧(みさか たくみ)
東京大学大学院農学生命科学研究科准教授。専門は食品機能学。食品が生体に対してどのような影響を与えるかという視点から、味受容メカニズムの解明や、味覚に影響を与える食品成分の探索に焦点を当てた研究をおこなっている。

第3回 子育ての科学(哲学)開催報告

第3回 子育ての科学(哲学)開催報告

哲学と子育て イベントレポート

日時:2014年3月29日(土) 10:15-12:15
会場:湯島地域活動センター

今回は、梶谷真司氏を講師としてお迎えし、「まなび」をめぐる哲学対話を行いました。

参加者は大人15名、子ども4名(3名乳幼児)でした。“哲学対話”と聞くと、難しく聞こえるかもしれませんが、今回は最年少で5歳の子も加わって、和やかな雰囲気の中でスタートしました。

まずは、「良い親とはどういう親か?」をテーマに少人数での質疑応答を行い、対話のための準備をしました。これは自分で考え、それを伝えるための練習だそうです。続いて、全員で「まなび」という切り口から思い浮かぶ質問内容を出し合い、それらを整理してから、話し合うテーマを決定しました。(写真参照)今回のテーマは「どうすれば、生き生きと育っていけるのか?」となり、各自の意見を出し合ってから、自由に発言をしていきました。最初は、「どのようにすれば~」という意見が目立ちましたが、途中から「そもそも、生き生きとはどういうことか?」という内容に変化していきました。“生き生き”という言葉ひとつとっても、人によって捉え方の違いがこんなにもあるのだということを知りました。

イベント後には、「結論を求めない議論だからこそ、多様な意見が出て、なおかつ参加者全員で共通意識も生まれた」、「なんとなく“こういうことだよね”と決めつけていていては、知ることが出来ないことがあったと感じた」、「易しいキーワードから、色々な考え、思い、世界観を見ることができた」などの感想をいただきました。「まなびと子育て」という入口だったはずなのに、議論が終わってみるととても大きな規模の話になっていたことが印象的でした。今回のイベントを通じて、自らの考えを言葉にすることの大切さを強く感じたので、今後は対話をする機会をもっと増やしていきたいと思います。参加してくださった皆様、梶谷先生ありがとうございました。

講師プロフィール
梶谷 真司(かじたに しんじ)
東京大学大学院総合文化研究科准教授。専門は哲学、比較文化、医学史。
哲学では身体と感情をテーマにしつつ、東洋の医学書・育児書・養生書を読み解き、人間のあり方の歴史的・文化的特徴について考察している。最近では、「哲学対話」のプロジェクトを推進している。

第2回 子育ての科学(脳科学)開催報告

第2回 子育ての科学(脳科学)開催報告

今回は、首都大学東京の菊池吉晃教授をお招きして、「お母さんのわが子に対する愛情(母性愛)とは何か?」というテーマで講演をしていただきました。

先生の行った実験は、母親に明確な愛情を示すとされる1-2歳の子どもをもつ母親に自分の子(笑顔・泣き顔)と他人の子(笑顔・泣き顔)の映像を見せるというものでした。実験にはfMRIを使用し、主観評価(感情状態について)との結果と照合し、母親の愛に関係する脳の場所を4箇所に特定することが出来たそうです。また、fMRIの結果では、自分の子が泣いている姿に脳が強く反応していることもわかりました。

この時、母親の頭の中では、泣く様子=子どもの危機として捉えられ、脳では葛藤が起こっています。すると、わが子の苦痛を減らす戦略を練るために、内省して無意識に自己図式を探します。これは、過去の自分の経験を瞬時に呼び戻す作業で、ここから記憶がよみがえると身体状態が変化する、という流れになっています。

また、脳の葛藤に対する男女差に関する研究では、女性は【自分】と【ネガティブな要素】を結びつける傾向が強いことがわかりました。これは、危機のシミュレーションをすることで、今後起こりうる多くのリスクに備えている状態だそうです。これらの例をもとに、なかなか言語化しにくい母性という概念を、脳科学の観点から覗いてみることが出来ました。

レポートでは、かなり断片的になってしまいましたが、この他にも懐かしさを感じる脳、自己肯定性を守ろうとする脳についてもお話していただきました。

参加者の方々からは「子育ての場面では、“母はこうあるもの”と、あまり根拠のわからないまま語られることが多いけれど、脳科学の知見を学ぶことで、もう少しクールに現象を捉えられる気がした」、「脳機能の男女差に関する話は、これからの家族での子育てに活かせると感じた」といった感想をいただきました。また、父性や男性脳についても学んでみたいという意見も多かったです。

また、お母さんの他にも大学生から社会人まで男女関係なく参加していただいたため、「アカデミックな内容に対して参加者の対象が広く、興味深かった」という感想もいただきました。

今回は、参加者全員が脳科学初心者とのことで、ゼミのような雰囲気で学ぶことが出来ました。 菊池先生、参加して下さった皆さん、ありがとうございました。

第1回 子育ての科学(気象)開催報告

第1回 子育ての科学(気象)開催報告


こんにちは。1月16日に開催された、「さいえんすママカフェ」のイベントレポートをお届け致します! 

今回は、(一社)日本気象予報士会サニーエンジェルスさんとのコラボレーション企画でした。 当日は、お母さんと乳幼児・未就学児のお子さんも10数組参加して下さいました。

まずは、ペットボトルを使って雲を作る実験を2種類行いました。(写真右) まだ小さいお子さんも多かったですが、雲が出来る瞬間に思わずにっこりしたり、興味深そうにのぞき込んだりしていました。

つぎに、質問コーナーでは、参加者の男の子から「どうして晴れるの?」「どうして雪が降るの?」という疑問が出ました。
大人が理屈を理解することが出来ても、その理屈を子どもに伝えることはなかなか難しかったので、今後の課題になりそうです。

その他にも、天気予報の見方や、外出時の急な天候の変化があったときの対処法、異常気象の前兆などについて幅広くお話いただきました。
また、珍しい雲の写真などもいくつか見せていただき、これからは空を見上げることが多くなりそうです。

参加者の方からは、「子どもと一緒に実験を出来て良かった」という声や、「子どもが大きくなったら、天気のことを色々教えてあげたくなった」などという声が寄せられました。

サニーエンジェルスの皆さん、参加してくださった皆さん、ありがとうございました。

第0回 子育ての科学(哲学)開催報告

第0回 子育ての科学(哲学)開催報告

こんにちは。大変遅くなりましたが、第一回子育ての科学(7月26日開催)のイベントレポートをお届けします!

「子育ての科学」の記念すべき第一回は、梶谷真司先生をお招きして、「自然な子育てとは何か?」というテーマでの講演をしていただきました。

当日は、多くの育児中の女性に加え、妊娠中の女性、育児を全面的に担ってこられた男性、近い専門領域を研究されている方、企業で関連分野を調べられている方、そして0~9歳のたくさんのチビッ子たちにご参加いただき、和やかなムードで講演がはじまりました。

私たちは、生活のあらゆる面で“自然であること”を大事にする傾向があります。子育てについても、例えば、自然分娩、布おむつ、母乳、出産後の母子同室などが”自然”で、価値のあることのように捉えられていないでしょうか。

実は、江戸時代には育てにおける“自然さ”が現代と全く違った意味で使われていました。階層や地域にもよっても異なりますが、たとえば当時の産後の様子を描いた絵図からは、当時授乳や乳幼児の世話は、母親ではなく乳母が中心的に担っていたことがうかがえます。講演では、江戸時代から近代までの母乳の捉えられ方を例にあげ、時代や歴史背景によって、自然というものが決して変わらないものではないことを教えていただきました。

参加者の方々からは、「”自然”そのものが社会的に作られた過程がよくわかりました」「自然・・・ってあまりにも”自然”に使いすぎて、疑わなかった」といった感想や、「江戸時代の子育ては、規制が多く大変だったことは興味深かった」「母親の乳が絶対的に良いものとは思われていない時代があったことが新鮮だった」といった声が聞かれました。

質疑応答の時間には、参加者の方々の経験に基づいた意見や質問が出て、時間いっぱいまで活発なやりとりが繰り広げられました。育児中の女性たちの関心の高さは企画側の想像以上で、しつけや教育についてや国際比較、医学的見地などについても知りたいとの要望を寄せていただきました。今回いただいた反響やご意見をもとに、次回以降の企画につなげたいと思っています!

梶谷先生、ご参加いただきました皆様、改めてどうもありがとうございました。

***梶谷真司先生 プロフィール*************
東京大学大学院総合文化研究科准教授。専門は哲学、比較文化、医学史。哲学では身体と感情をテーマにしつつ、東洋の医学書・育児書・養生書を読み解き、人間のあり方の歴史的・文化的特徴について考察している。最近では、「哲学対話」のプロジェクトを推進している。
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